インターネットや店頭に掲載されている物件情報には、おとり広告と呼ばれる、嘘の情報が溢れています。
「問い合わせをした時には空いていると言われたのに、いざ来店してみると無いと言われた」「ネット掲載の物件は実は事故のあった物件です」などと言われ、希望した物件以外の高額な物件を紹介されしまった。という経験のある方も多いと思います。
不動産業界全体では、おとり広告を無くそうという風潮になっていますが、まだまだ続けている業者が多いです。(そして、そうした業者は、総じて対応が悪い傾向にあります。)
正直、一般の人が、プロが掲載するおとり広告を見分けるのは簡単ではありません。
そこで本記事では、そういったおとり広告、誇大広告にひっかからなくするための全知識をご紹介します。
目次
1.おとり広告の現状
おとり広告は、集客のために、「実際には募集のない物件」や「実際の家賃より安い家賃、条件」でインターネットやチラシに掲載されています。
もちろん実際にそのお部屋に申し込み出来ることはなく、それを目当てに来店されたお客様に別の物件で契約させる事が目的です。
良く、来店してみたら「実は事故物件なので安いのです」という業者がいると聞きますが、ほぼ嘘です。物件オーナーは事故物件ということをあまり公にしたくないので、インターネットに堂々と情報を載せません。更に、事故物件という重要な告知事項を、電話やメールの問い合わせの時点でお客様に伝えないという事は基本ありえません。
つまり、来店させてから「実は事故物件で~」や「安いのは最初だけで~」などと言う業者は総じておとり広告業者である可能性が高いです。
おとり広告は、大手ポータルサイト(スーモやホームズ)などでもチェックが行き届かず掲載されていますし、不動産屋の店頭にもポップやチラシとして掲載されています。
最近では8~9割の業者は正確な情報を掲載するように心がけているようですが、1~2割の業者、特に都市部の業者では意図的におとり広告を続けていると思われます。
2.店頭のポップはあてにならない
どこの賃貸店舗にも、店頭に看板やポップが掲載されていると思います。
こういったポップ類は基本的にあてになりません。
不動産の空き情報というのは、数日~数週間ですぐに変わっていきます。しかし、こういったポップは早くても数週間に一度、時には年に数回しか作り直しません。
つまり、こういう物件があった事があるという程度で、鮮度のいい情報(今の情報)ではないのです。
特に悪徳業者ですと、存在しない物件や、今とは全く違う条件のポップや看板を堂々と貼り続けています。
とはいえ、ポップ張替えは結構面倒くさい作業なので、ずっと張りっぱなしの業者より、頻繁に入れ替えを行っている業者のほうがしっかりしているとは思います。
つまり、店頭ポップの見方は、「適度に張り替えられているか(張りっぱなしで汚くなってないか)」「おおよそ希望の家賃帯の物件がありそうか」を見るだけでよく、細部までじっくり見る必要はないという事です。
3.インターネットのおとり広告の見分け方
それでは、本題のインターネットでのおとり広告の見分け方に入りたいと思います。
①使用するポータルサイトを選ぶ
インターネットでお部屋探しをする時、「スーモ」「ホームズ」「いい部屋ネット」など様々なサイト、アプリがあると思います。
この中からまずは、利用者の多い大手サイトを選んで下さい。新しく出てきたサイトや、マイナーなサイトは、基本的に見る必要はありません。
詳しくは、
>スーモ・ホームズ・アットホーム・いい部屋ネットなど各賃貸ポータルサイトの比較
でご紹介させて頂いておりますが、大手サイトの方が掲載に関してシビアなので、信頼度が高いです。
まずは、最大手の「スーモ」か「ホームズ」で検索してみるのが良いと思います。
②おとり広告の特徴
まずは、おとり広告の代表的な特徴をご紹介します。
・1部屋だけ相場より極端に安い
物件には相場があり、オーナーも周辺の相場を見て家賃を設定します。そのため、1部屋だけ相場から2万、3万など極端に安すぎる物件は存在しない可能性が高いです。
さらに、その物件が1つの業者しか掲載していない場合、ほぼおとり広告と見て間違いないでしょう。逆に、3社以上別の業者が同じ家賃で掲載している場合は、存在する可能性が高くなります。
ただし、やはり極端に安い場合は何かしら事情がある場合が多いので注意が必要です。(治安の悪いエリアだったり、隣が工場で異臭がする、など)
・室内写真が無い
通常、ポータルサイトに掲載されている物件には、外観から室内、トイレまで写真が載っています。
これが、外からの外観写真だけしか無く、室内の写真が無ければ注意です。室内写真が無いだけで絶対におとり広告、という事はありませんが、可能性はあがります。
存在する優良物件は、建築中の新築物件でも無い限り室内写真は撮りに行きます。それが無い条件の良い物件は少し怪しいです。
それから、写真があっても、明らかに間取り図と違う写真が堂々と使われている物件も要注意です。左右逆や色違いくらいなら大丈夫ですが、部屋の形が大きく違う場合は、おとり広告の可能性があります。
・エリア外の業者が掲載している
気になる物件の詳細ページを開くと、右上、もしくはページの下の方に「その物件を掲載している不動産業者」が記載されています。
この業者の住所が、物件の住所と大きく離れている場合は要注意です。都心部のおとり広告業者に多いのですが、明らかにエリア違いの、沿線沿いでもない物件を掲載している事があります。
懇意にしているオーナーさんに頼まれでもしない限り、遠いエリア外の物件を掲載する事はほとんどありません。案内に行くだけでも大変ですし、そのエリアの特徴も分からないからです。
せめて電車で数駅の範囲がメインエリアになるはずです。それ以外の物件ばかり載せている業者は、なんでも良いからとにかくお客様に来て欲しい、という危険な業者の可能性が高まります。
4.おとり広告かもしれない物件への問い合わせ方法
おとり広告を見て来店するのは、お客様にとって気分が良くないばかりか、時間の無駄でしかありません。
ただ怪しいけど、もし掲載されている物件が本当にあったら是非引っ越したいと思ったときの問い合わせ方をご紹介します。
それは、「現地案内を依頼すること」と、「電話で仮押さえをしておくこと」です。
まず、問い合わせる際には電話で問い合わせをします。(メールだと色々とはぐらかされます)
気になる物件が空いていると言われたら、現地案内(実際のマンションで待ち合わせし、そのまま見学する事)を希望しましょう。存在しないおとり物件であれば、現地案内は不可能です。
さらに、その気になった物件がかなり条件ピッタリだった場合は、電話で仮押さえまで依頼してみましょう。
おとり広告でない場合は、具体的な手順を伝えてくれますし、実際に仮押さえ出来る物件がほとんどです。もしおとり広告であった場合は、何かしら事情をつけて現地案内も仮おさえも断ってきます。
※空き予定の物件の場合は、本当に現地見学出来ない場合もあります。先に空いているかどうか確認しておきましょう。
ここまですれば、おとり広告に引っかかることはほぼ無くなります。
5.まとめ
それでは、おとり広告の見分け方をまとめます。
まず、店頭ポップや賃貸情報誌など、即効性が低いものは参考程度にして、新鮮な情報はやはりインターネットで探しましょう。
そして、大手のポータルサイトを使い、気になる物件を見つけたら、以下の3点の特徴が無いか確認します。
- 相場より極端に安くないか
- 室内写真がきちんと掲載されているか
- 掲載している業者があまりにもエリアから離れていないか
上記条件に当てはまっている場合は、問い合わせの際に、「現地案内」と「仮押さえ」を希望しましょう。
もし納得できる理由なく断られたらかなり怪しいと見て間違いありません。
諦めて他の物件を探した方が良いでしょう。
探し始めは、相場も分からないので、何度かおとり広告に引っかかってしまうかもしれません。しかし、探していくうちにどんどん自分の希望が分かってきますし、怪しい物件も見て分かるようになってきます。
お部屋探しは、インターネットでの下調べが大事です。根気よく探して、希望のお部屋を是非見つけて下さい^^