お部屋のご紹介をしていると、よくお客様から「敷金礼金がゼロの物件ってあまり良くないの?」とご質問を頂くことがあります。
敷金礼金がゼロというだけで良くない物件という事はありません。むしろお得度の方が大きい物件も多いです。
敷礼ゼロの物件にも理由と、メリットやデメリットが存在します。その内容を知って、敷金礼金ゼロのお部屋も選択肢のひとつに加えるべきだと思います。
1.敷礼ゼロ物件とは
敷金礼金ゼロ物件とは、初期費用の敷金や礼金がかからない賃貸物件です。
敷金、礼金の意味や違いについては下記記事をご参考下さい。
>賃貸物件の敷金と礼金の違い! 敷金は本当に返還して貰えるのか
ちょうど画像のような物件が、敷金礼金ゼロのお部屋です。
敷金と礼金で、家賃の1~3ヶ月分が相場ですので、6万円の家賃のお部屋だと6~18万円程かかります。
昔は、敷金礼金だけで数十万円もかかる時代もありました。
最近は、敷金も礼金もだいぶ安くなってきました。そして、物件全体の20~30%ほどがすでに敷金礼金ゼロ物件となっています。
敷金や礼金は、オーナー、もしくは管理会社が裁量で決めるものですので、ゼロだからといって契約内容や物件に何かデメリットがあるわけではありません。
キャンペーンや、空室期間が長くなってきたからとか、家賃が値下げ出来ない代わりに礼金を下げる、など様々な理由でゼロになっているだけです。
2.敷金がゼロの理由
敷金がゼロなのと礼金がゼロなのは理由が違います。
敷金は、本来、家賃滞納があったり、必要以上に部屋を傷つけられた時の担保として預かっていたお金です。
しかし最近は、家賃保証会社(家賃滞納の回収等を、家主の代わりに行う会社)の登場で、敷金を預かる必要が無くなってきました。
つまり、オーナーは敷金を預からなくても家賃滞納のリスクがないため、安心してお部屋を貸せるようになったというわけです。
ただし敷金がゼロの物件は家賃保証会社への加入が必要です。敷金の代わりにおよそ総家賃の0.3~1ヶ月分が保証費用としてかかってきます。
>家賃保証 家賃保証会社とは? 審査や料金はどうなってるの?
3.礼金がゼロの理由
礼金がゼロの物件は、ほとんどはオーナー側の意向で、初期費用を抑えて他物件と差別化させるためです。
賃貸物件では、家賃自体を下げてしまうと、物件全体の資産価値にも影響が出てしまうため、礼金の方が気軽に上げ下げしやすいです。
キャンペーンで礼金がゼロや半額、という物件も閑散期などは良く見ます。
1ヶ月、2ヶ月空室になってしまうよりも、礼金を安くしてでも早く入居して貰ったほうがオーナーとしては有り難いと思います。
4.敷礼ゼロのメリットとデメリット
敷礼ゼロ物件のメリット
メリットは言わずもがな、初期費用が抑えられるという事です。
賃貸契約では、前預かり家賃の他に、鍵交換代や火災保険代など、多くのお金がかかって来ます。
礼金だけで10万、20万円もかかってしまっては、初期費用の総額はかなり高くなってしまいます。
賃貸物件は、何年住む事になるかわからないので、初期費用はなるべく抑えたいところです。
敷礼ゼロ物件のデメリット
では、デメリットはなんでしょうか? これは不動産屋の人に聞いてもあまり教えて貰えないと思います。
一概にすべての物件に当てはまるわけではありませんが、デメリットは下記の2点です。
・短期解約違約金がつく
礼金がゼロの物件だと、入居後すぐに退去されてしまうと、リフォーム代などでオーナーが赤字になってしまうため、短期解約違約金が設定されています。
契約に短期解約違約金が設定されていれば、1年以内などの短期での解約時に家賃の1~2ヶ月分が違約金としてかかります。
長期で住むのなら問題ありませんが、急な転勤など、突然引っ越しが必要になることもありますので、お気をつけ下さい。
また時々、「1年間は解約不可」のような厳しい条件がある物件もありますので、契約前に確認しておきましょう。
・入居者層が良くない場合がある
敷金礼金がゼロの物件の方が、マナーの悪い入居者がいる場合が多いです。
審査の厳しさなどの要因も絡みますので一概には言えませんが、敷金礼金有りの物件と比べると、入居者層が悪い傾向があります。
もちろんほとんどの方はきちんとした入居者ですが、マナーを守れない入居者が敷礼ゼロ物件に比較的集まりやすいです。
例えば、貯金が無く初期費用が払えない方や、日本に来たばかりの外国の方なども、敷金礼金ゼロの物件に入居することが多いです。
特に敷金礼金が安い物件を見学する際は、玄関前やエントランスの共用部が汚く使われていたり、自転車が乱雑に放置されていないかなど、入居者がマナーを守っているかどうかもしっかり確認して下さい。
5.まとめ
敷金礼金ゼロの物件は初期費用を抑えられますが、短期解約金や、入居者層など、デメリットもあります。
ただデメリットに関しては、事前にしっかり確認すればそれほどリスクにはなりません。
賃貸において、初期費用を抑えられるのは非常に大きなメリットですので、敷金礼金が安い物件も上手に選択肢に入れて検討して頂ければと思います。