不動産営業マンが、事故物件を探して実際に住んだ体験記 PART2

「PART1」に続いて、私が22歳の頃に実際に事故物件に住んでいた体験談をご紹介します。

前回は部屋探しまでがメインでしたが、今回は実際に入居した後の住心地(や心霊体験?)もご紹介します。

1.どちらの物件にしたのか?

事故物件を借りるために、朝からUR賃貸に朝一から並び、下記の2物件まで絞る事が出来ました。

物件A

●都心ど真ん中の好立地。駅まで徒歩3分

●当時、築8年くらいの2LDK

●家賃14万円が半額の7万円!

●死因・・・自殺

物件B

●都心まで電車で1本。駅まで徒歩1分

●築20年の3DK

●家賃8万円が半額の4万円!

●死因・・・溺死(浴室)

憧れの都心ど真ん中の新しいマンションに住むか、築20年ながら駅1分のマンションに月たった4万円(ルームシェアなので一人あたり2万円)で住むのか、悩ましい2択です。

更に死因の面でも、自殺の部屋を選ぶのか、溺死の部屋を選ぶのかという難しい2択を迫られます。

ちなみに、見学は出来るのですが、その見学のための仮押さえが1部屋しか出来ないため、この資料だけで、実質どちらかに決定しなければなりません。

一緒に住む友人と相談すると、物件Bの家賃の安さと、さらに浴室で溺死の方が平等だろうというのが決め手(物件Aの自殺はどちらかの部屋で亡くなっているので、部屋割で揉めそうでした)になって、物件Bを見学しに行くことに決めました。

2.では、見学してきてください

普通の不動産屋では、物件の見学は営業マンが現地まで案内して、一緒に見学するスタイルだと思います。

そうする方が、お客様としても色々質問できますし、営業マンとしても成約に結びつきやすいので、ほとんどの不動産屋ではこのスタイルのはずです。

しかし、さすが日本最大の大家さんと呼ばれるのUR賃貸さん。

「では、来週の○日までにマンションの見学しといて下さいね~」

なんと、現地の管理人さんに鍵を借りて、自分たちだけで勝手に見学するスタイルでした。

初めての物件見学は、自分たちだけで、溺死の事故マンションを見学するというかなり珍しいスタートとなりました。

3.見学、そして

仮押さえをしているので、物件見学をするまでは、他の人にとられる心配がありません。ですので、日を改めて友人と物件見学に行きました。

外観イメージ画像

実際にマンションに訪れてみると、まあ当然ですが外観は普通です。外からでは事故物件だとは思えません。

そもそも、(恐らく高齢の方の)風呂場で溺死なので事件性も無さそうですし、住んでいる方もほとんど知らないのではないでしょうか。

現地の管理人さんに鍵を借りて、実際の部屋を見に行きます。

玄関、部屋も特に問題なく、築20年なりの設備ではありますが、3DKなのでかなり広く、使い勝手も良さそうです。

最後に、一番気になる浴室を二人でチェックします。

かなり恐る恐るドアを開けて見ましたが、

浴室イメージ画像

思ったより全然普通でした!

特に事故の痕跡らしきものも見当たらず、浴室内に入っても嫌な感じもしません。

夜に、家で一人の時に入るのは怖いな、、という意識はあったのですが、それ以外の条件が良すぎましたし、都会に出たい気持ちも強かったため、この物件に決定する事にしました。

4.周りの反応は?

物件が決まったので、引っ越すことを周りに報告しました。

さすがに大々的に事故物件に住むとは公言しませんでしたが、家に遊びに来るであろう仲の良い友人と、両親には詳細を話しました。

友人の反応は特に悪いものではなく、驚いたり爆笑されたりはしましたが、引越し後も度々遊びに来てくれました。風呂も普通に入ってました(笑)

心配していた両親の反応ですが、思ったより肯定的でした。

殺人事件などは怨念があるから駄目だけど、事故死はまあ大丈夫だろう、との考えのようです。

ただ、父が引越しを手伝いに来てくれた時に、知らない間に浴室と玄関に盛り塩をして帰って行ったのは逆に怖かったです。

5.実際の住心地と心霊体験

ここからは、実際に事故物件に住んでからの、良かった点と悪かった点をそれぞれご紹介していきたいと思います。

○良かった点① 「安い!」

やはり、家賃の安さが最も魅力的でした。

通常「家賃8万円+共益費8000円」するはずの3DKの物件が、
「家賃4万円+共益費8000円」で住めるのです。

毎月4万円の差なので、一年で48万、2年で100万近くお得です。

ついでにルームシェアで友人と折半なので、一人「月2万4千円」と破格でした。光熱費も月1万程度でしたので、固定費は一人頭3万円いきませんでした。

2年の期限付きとはいえ、ハタチそこそこの私達には有り難かったです。

○良かった点② 「普段はあまり気にならない」

事故物件という事実は、住む前と住み始めた頃が一番気にしていました。

慣れるというか、気にしなくなるというか、生活していると、ほとんどの時間は事故物件であるという事すら忘れて過ごせました。

私の物件は、浴室が現場だったので、お風呂場に入る時や、ふとした瞬間に思い出す事はあるのですが、すぐに気にならなくなるので、生活に支障はほとんど無かったです。

●悪かった点① 「知人を呼びにくい」

事故物件に住んで困った点は、少し距離のある友達や知人など、親友以外が家に来る時です。

仲の良い友達なら、あらいざらい話して、来たければ来れば良いし、来たくないなら来なくていいという感じで特に問題ありません。

ただ例えば、飲み会の帰りにそのまま皆で家に来る時や、友達の友達が遊びに来る時などは、言うべきか言わざるべきか悩みました。

もちろん中には引いてしまう人もいるでしょうし、盛り上がっている所に、「うち事故物件だから」と水を差す勇気が出なかったりもします。

このあたりの言う言わない、家に誘う誘わないのライン引きが少し難しかったです。

●心霊現象① 「雑巾が赤く、、、」

ここからは、デメリットとして実際に事故物件に住んでから体験した現象をご紹介します。

引っ越し日当日、部屋の掃除のために家中を雑巾がけしていました。特に、浴室は念入りに拭くようにしていました。

しかし、シャワーヘッドを拭いて、壁を拭いて、天井を拭いたあたりでふと雑巾の裏側を見ると、雑巾が赤黒くなっていました。

当時の私はビビりまくって友人と騒ぎましたが、今では、しばらく使ってなかったための、水回りのサビか何かだったのではないかと、自分を納得させています。(非科学的なものは信じないたちなので)

ただ、他の部屋を拭いている時はなんともなく、浴室だけの出来事だったので、見る人にとっては紛れもない心霊現象だったのかもしれません。

●心霊現象② 「人の気配」

これは、一緒に住んでいた友人(幽霊など信じる派)の話なのですが、引っ越して数日後に、時々誰もいないはずの部屋に人の気配がする事がある、と言いだしました。

その時は、ビビっているだけだろう、と笑い飛ばしたりしていたのですが、

後日、

私が仕事を終えて帰って来た時(友人はその日休み)に、その友人が、

「今日、昼に一回帰って来てたんやね。」

と聞いてきたのです。当然、一日仕事に出ていたため、お昼も帰ってないと言うと、

「え、でも昼にリビングのドア開いて閉まった音したで、、、」

その瞬間、二人でゾワッとなりました。笑

もちろん、ビビった友人の幻聴だっただけかもしれませんが、誰もいないはずのリビングのドアが、何ものかに勝手に開閉された状況を想像して、あの時は恐怖に凍りました。

6.まとめ-事故物件はおすすめか?

最後は少し怖い話にもなってしまいましたが、実害があるような事件でも無いので、気にならない方には問題ないと思います。

実際に事故物件に住んでみた、私の結論としては、特に若い頃や、1~2年ぐらいの短期的な引越しであれば、事故物件は大いに有りだと思います。

もちろん、お子様がいらっしゃったり、同棲の予定がある方などは慎重にお考え頂ければとは思いますが、ルームシェアや一人暮らしなら、家賃や初期費用が安いメリットは大きいと思います。

同じ会社の人でも、事故物件にあえて住んでいる人は何人もいますし、安くグレードの高い部屋に住めるので、皆そこから引越したがらないです。

世の中には、過去の事故物件と知らずに普通の家賃を払って住んでいる方もたくさんいます。そこに家賃のメリットがあり、自分の条件にあっているのであれば、事故物件も優秀な選択肢に入ると思います。

最後に、事故物件に住む時のコツをお伝えできればと思いますが、出来る限り事故の経緯や、どんな人が亡くなったかなどの詳細は聞いておいた方が良いと思います。

霊を信じない私でも、時々、「あ、いま女性の影が見えたような」と思う事があります。しかし、そこで亡くなったのが高齢の男性だと知っていたので、「ああ、なんだ気のせいか」と安心する事が多かったです。

もしどこで亡くなったかも、誰が亡くなったかも知らなければ、家の全ての場所で事故関係なく恐怖してしまう事がもっとあったと思います。

あまり突っ込んで聞きたくない話かもしれませんが、事故物件に住む際は、その事故の詳細情報はなるべく聞いておくことをおすすめします。

以上、前回から2部に分けて事故物件の体験談を紹介させて頂きました。なかなか周りで事故物件の経験者は少ないと思いますので、少しでも参考になれば幸いです。

前半記事はこちら

「不動産営業マンが、事故物件を探して実際に住んだ体験記 PART1」

レクタングル大
レクタングル大

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

レクタングル大