店舗、事務所の探し方

起業、独立を決意してから最初にしなければいけない事は店舗や事務所を探す事です。

基本的に、法人設立にも、創業融資を借りるにも、まずはテナントやオフィスの住所がないと申請する事が出来ません。

今回は、不動産経験8年の私が実際に独立して事務所を探す際に使った方法をご紹介します。

1.エリアと予算の選定

まず初めに、開業するエリアと物件の予算をある程度決める必要があります。

店舗の場合は特にどの駅が最寄りかが大事だと思いますので、駅の候補と、その駅の徒歩何分以内くらいまで許容できるかを考えましょう。

ただ実際には、駅の北側なのか南側なのかで雰囲気がガラッと変わる事もあります。

自分が使ったことのある駅だったとしても、店舗を出すという目線だと見えるものが違いますので、実際に駅周辺を歩いて環境を確認するのもおすすめです。

「予算」については、業種にはよりますがおおよそ月間の売り上げの10%くらいがバランスが良いと言われています。

月商200万円程が見込めるなら家賃共益費込みで20万円前後の物件が良いという事です。

もちろん、家賃は抑えてネット広告に予算を割く戦略や、店舗にお金をかけて飛び込み客に来てもらう戦略もありますが、特に1店舗目は固定費を抑えておくに越したことはないかなと思います。

ちなみに私の場合は、

「〇〇駅の1駅のみ」「そこから徒歩3分以内、しかも駅より西側のみ。」

とかなりエリアを絞って探しましたので、見つかるまで4カ月近くかかりました。

私の場合不動産屋での独立でしたので、前職から付き合いのある家主さんのいるエリアで、且つ沿線の多い主要駅。さらにその駅の東側は飲み屋街だったため西側のビジネスエリアに絞って探したという形でした。

一般的な場合ここまで絞らなくても良いと思いますが、駅からの距離や視認性、エリア特性など、どうしても譲れないという部分は決めておくと探しやすいかなと思います。

逆にどこでも良いという気持ちの強い方は、自身の起業する会社の戦略やターゲット層、から逆算していけば、自ずと必要な立地や予算が見えてくるはずです。

2.路面店か空中店舗か、坪単価なども考える

店舗の賃料は普通の物件と違い、 「坪数(つぼすう)」×「坪単価」 で計算する事が多いです。

1坪は約3.3㎡。およそ畳2枚分です。今あなたが住んでいる部屋が6畳だとすると、約3坪の部屋という事になります。

「坪単価」は1坪当たりの家賃ですね。

月額30万円の店舗があったとして、

そこが10坪(33.3㎡)なら坪単価1万円。

そこが5坪(約17㎡)なら坪単価2万円です。

各物件を比較する際、この坪単価で比較をすると、その物件が割安か割高か分かりやすくなります。

参考に、実際の不動産屋用の物件資料をご紹介します。特定できないよう少し編集してますが本物です。

実際には住所も載ってますので、住所をグーグルマップで見て、階数や坪単価などを見て判断していきます。

基本的には 「主要駅の駅近」「路面店(1階店舗)」であるほど坪単価が高くなりますので、予算が決まっているのであれば狭めの物件が候補になります。

このあたりのバランスが結構難しく、少し狭くても目立つ路面店に絞って探すか、駅から離れたり空中店舗でも広めの物件を探すかなど考えなければなりません。

個人的には、この辺りはある程度幅広く検討しても良いかなと思います。

エリアや予算などで妥協できない所は必ず守って、自社の戦略と噛み合いそうであれば空中店舗でも見てみるなど、柔軟に見学しにいってみても良いのではないでしょうか。

3.実際に物件を探す

エリアや予算などを決めたら、実際に物件を探し始めます。

ここから、不動産屋の力も必要になって来ます。

まずはアットホーム(事務所検索もしくは店舗検索)などで希望エリアの物件をネットで探します。

募集が終わっている物件掲載も多いですが、体感で実際に存在する物件の7割くらいはネットに載っています。まずは相場観を養うためにもネットで気になる物件をピックアップしていきましょう。

いくつかピックアップしたら、希望エリア内でテナントに強そうな不動産屋さんに問い合わせをして、まずは見学に行ってみましょう。

この時、出来れば希望するエリアと同じ駅にある不動産屋に行きましょう。エリア違いの業者が別駅のテナントを探すのは結構難しいためです。

一度の見学で希望の店舗が見つかる事は少ないので、希望条件を伝えて良い物件が出たらすぐに教えてもらえるよう約束を取り付けます。

ここでのコツですが、良い物件が見つかれば必ず契約する気持ちがあることを熱量を持って伝えて下さい。不動産屋が成約率の高いお客様だと判断してくれて、且つテナントをメインにしている不動産屋であれば、恐らく毎日のようにレインズと呼ばれる不動産データベースを見て、良い物件が更新されるとすぐに連絡してくれるでしょう。

駅近の路面店などは特にですが、好条件の店舗や事務所は、早ければ半日、遅くとも2~3日くらいで申し込みが入ったりします。良い物件が見つかったら最優先で見に行き、テナントの仮押さえまで急ぎたい所です。

4.店舗、事務所の探し方 ~上級者編~

一般的な探し方はすでにお伝えしましたが、ここからはエリアを絞って探す際に絶対に漏れなく探す方法をお伝えします。

ただし時間と手間がかかるため、上級者向けの方法となっております。

先ほどネット上に7割程度の情報はあるとお伝えしましたが、これをもう少し詳しくご説明しますと、不動産業者だけが見れる公的データベース(レインズ)に大々的に公開される情報が、テナントだと全体の8割程度になります。

その中の1割ほどは公開されて数日以内に申し込みが入り、ネットに公開される前になくなってしまうため、実際にネット上には7割程の情報が掲載されてます。

そして、残りの2割は家主さんが自社だけで募集していたりと、直接問い合わせしないと募集が分からない物件です。

エリア内全ての物件を探そうと思うと、この8割と2割を全て探しきる必要があります。

4-1.公開情報を最速で手に入れる

もしあなたに、不動産業をやっていたりで「レインズ」にアクセス出来る知り合いがいれば、少なくとも平日は毎日レインズをチェックして貰えばほぼ最速で物件情報を入手できます。

エリアを絞って新着検索が出来るので、毎日30秒程のチェックで済みます。

知り合いがいないのであれば、それを不動産業者に頼む形になりますが、かなり出来る営業マンでなければ、毎日一人のためにレインズをチェックしてくれる人はいないと思います。

不動産業者に最新情報をお願いするとともに、自分自身でもアットホームなどの新着物件をメールで受け取る機能を使って、気になる物件があればすぐに頼んでいた不動産業者に電話するのが最善だと思います。

そこまですれば、ネットに公開される情報はほぼ最速で手に入れる事が出来ます。

4-2.非公開情報を足を使って手に入れる

残りの2割のネットに公開されない情報は、実際に足を使って調べる事で入手できます。

具体的には、自分の希望の駅まわりを実際に歩き、募集している物件を自分自身で見て探すのです。

ネットに公開されていない物件でも、「テナント募集中」の看板が貼ってあったり、空き店舗は外から見ればわかります。(明らかに室内に何もなかったり、営業時間内なのにシャッター閉まってたり)

そういう物件を見つけたら、まずはネットでビル名を検索して、ネット上に募集情報がないか調べます。

ネット上に募集が無くても、過去の募集条件からおおまかな広さや家賃を調べる事が出来ます。

そこが自分の予算にあいそうな店舗であれば、次はそのビルの管理会社を調べます。テナント物件であればその物件のどこかに管理会社もしくは家主さんの連絡先(少なくとも社名)が掲示されているはずです。

恐れる事なく電話してみて、「店舗(事務所)を探しているのですが、~ビルのテナントの募集が無いかと思いお電話させて頂きました」と伝えて下さい。

募集があれば家賃なども教えてくれるので、そのまま見学させて貰うのも有りです。

電話する際には、だいたい「業種はなんですか?」と聞かれるので答えられる準備はしておいて下さい^^

もしショッピングモールや駅の施設内のテナントでしたら、まずは施設名でホームページを検索してみてそこの運営会社や問い合わせ先に電話してみると、テナント募集の担当の番号を教えてくれるはずです。

相手は企業さんですし、こちらはお客様になるので基本的にはきちんと対応してくれるはずです。

注意点としては、1つのテナントを調べるのに結構手間がかかるので、この物件はかなり気になる!という上位の物件に絞って、そこの連絡先を調べて電話するのをお勧めします。

テナント物件は古いものが多いので、いまだにネットにも出さず上記のような張り紙だけで募集されている事も多いです。

こういう物件でもビルのエントランスや郵便受けなどを探せば、管理会社の連絡先は調べれるはずです。

店舗や事務所を探すことは起業する上でも非常に大事で、しかもかなり初期から手を付けなければいけない事です。

今回ご紹介した方法を使っていただき、少しでも多く選択肢が増えればと思います!

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