賃貸物件の敷金と礼金の違い! 敷金は本当に返還して貰えるのか

入退去

賃貸物件の契約時には、「敷金」「礼金」といった費用がかかります。

この「敷金」「礼金」は、どちらも契約時に必要となる費用ですが、性質はまったく異なります。

簡単に説明すると、「敷金」は退去時に返ってきますので、多少払っても良い費用ですが、「礼金」は返ってこないので、なるべく払いたくない費用です。

今回は、「敷金」「礼金」の違いと、良くご質問される「敷金は本当に返還されるのかどうか」についてご紹介させていただきます。

1.敷金とは

敷金とは、退去時の精算のために、入居中家主さんに預けておく担保金です。

おおよそ家賃の0~1ヶ月分くらいが相場で、お部屋の退去時に、「クリーニング代」「補修費」などを差し引いて、残額が返ってくる性質のものになります。

ちなみに、CMで良く見るUR賃貸はどの物件も一律で、敷金(保証金)3ヶ月分、礼金はゼロです。

「敷金」「礼金」は法律で決まっているものではない

そもそも、2018年現在、「敷金」や「礼金」という言葉は、法律では規定されておりません2020年頃の民法改正の際に明文化されるそうですが、今はまだ施行されていません。

敷金も礼金も、もともとは不動産業界の慣習としてあったものが、現在も引き継がれているだけです。

法律に規定がないので、国交省が示している賃貸住宅標準契約書を参考にしてみます。

(敷金)
第 6 条 乙は、本契約から生じる債務の担保として、頭書(3)に記載する敷金を甲に預け入れるものとする。
2 乙は、本物件を明け渡すまでの間、敷金をもって賃料、共益費その他の債務と相殺をすることができない。
3 甲は、本物件の明渡しがあったときは、遅滞なく、敷金の全額を無利息で乙に返還しなければならない。ただし、甲は、本物件の明渡し時に、賃料の滞納、第 14 条に規定する原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる。
4 前項ただし書の場合には、甲は、敷金から差し引く債務の額の内訳を乙に明示しなければならない。

ここでのポイントは2つです。

・敷金は、退去時に精算するための担保金なので、入居中に、家賃と相殺したりして減らす事はできません。

・退去時には、賃料の滞納分や、原状回復費用を差し引いた額を全額返還しなければならない。

入居中は、例えば家賃の代わりに敷金から引いておく、といった事は出来ず、あくまで退去時の清算のための敷金になります。

そして退去時には、原状回復費用等が差し引かれて返ってくる、いう事になります。

ちなみに原状回復費用とは、入居中の借主の故意、過失等による劣化をなおすのにかかる回復費用の事です。(現状回復費用については次項)

2.敷金は本当に返還されるの?

上記の通り、敷金は本来は返還されるべきお金です。

しかし実際の退去時には、本来はオーナー負担の費用まで請求されたりする事もあります。

退去立会の時に、知識を持ってきちんと対応しないと、必要以上に費用をとられる可能性があるという事です。

良く勘違いされるのですが、ベッドを置いていた跡が残ったとか、冷蔵庫の裏に出来る黒ずみなど、普通に生活していても出来る損耗は家主の負担です。

つまり、通常通りお部屋を使用していれば、敷金は全額返還される性質のものという事になります。

敷金から差し引かれるお金、原状回復費用って?

原状回復とは、国交省のガイドラインにより、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されております。

[参考]国土交通省-「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について

要約すると、退去時の原状回復費用についての大事な事は、下記の2点です。

・住んでいて自然に生じる経年劣化や自然損耗は貸主負担

・故意過失等による、通常の使用を超えるような損耗は借主負担

となります。

良くある事例ですと、

「自然光による床の日焼」「ポスターの画鋲跡」「家具の設置跡」などは自然に生活していれば生じるので貸主負担
「タバコのヤニによる壁紙の変色」「フライパンを落とした焦げ跡」「換気不足によるカビ」等は、故意過失と捉えられるため借主負担。

という具合です。

タバコのヤニの変色や、フローリングの目立つ傷は結構費用が高くなるので特に気をつけて下さい。

逆に言えば、気をつけて生活していれば、敷金は返ってくるものという認識で大丈夫です。

ですので、入居時に敷金がかかる物件も問題なく選択肢に入れるべきだと思います。

3.礼金とは

礼金の敷金との大きな違いは、オーナーに支払う返還されないお金という事です。

主にお部屋のリフォーム費用やクリーニング費用にあてられます。

もともとは昔に、家を借りる方が家主さんに謝礼の意味を込めて払ったり、遠方で身寄りのない子供を家主さんにお願いするために持たせた厄介金だった、という説もあります。

今でもその名残で、契約時の初期費用のとして支払われており、単身であれば家賃の0~2ヶ月分、ファミリー物件だと家賃の1~3ヶ月分が相場になっています。

礼金についても、現在法律での規定は無く、払ったからリフォームがより綺麗になるわけでもありません。

敷金と違い、払ってメリットになることも無いので、出来る限り交渉して値下げしてもらうべき費用です。

4.見かけの家賃だけでなく、礼金も含めた総額費用を計算する

礼金は最初に払えば良いだけのお金、と容易に考えて良い費用ではありません。

例えば、賃貸物件に2年間住むとして、

①家賃11万円 礼金0円
11万円✕24ヶ月+0円=264万円

②家賃10万円 礼金30万円(3ヶ月分)
10万円✕24ヶ月+30万円=270万円

の2物件だと、家賃が1万円違いますが、総額は結局②の家賃10万円の物件の方が高くなってしまいます。

ここまで極端でなくとも、例えば家賃2000円の違いで悩んでいる時は、「礼金」の差はもっと大きくなってきます。

交渉するのか、もともと礼金の安い物件にするのかなど、家賃だけでなく、「礼金」にも注意したお部屋探しをおすすめします。

5.まとめ

「敷金」「礼金」の違いをご紹介させて頂きました。

お部屋探しの際、「敷金」は返還されやすいのであまり重視せず、「礼金」には注意して探すのがポイントです。

また、敷金も礼金もゼロという物件もあります。敷礼ゼロ物件のメリットやデメリットについてはこちらをご参考下さい

>敷金礼金ゼロ物件の理由と、メリットデメリット

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