シェアハウス破綻に学ぶ、不動産投資の注意点

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シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営する不動産会社スマートデイズや、ゴールデンゲイン株式会社が破綻したのは記憶に新しいと思います。

この時に、多数の不動産オーナーが、破産や自殺に追いやられてしまいました。

世間では、スマートデイズのビジネスモデルの甘さや、スルガ銀行の融資審査の問題などが取り沙汰されていますが、この問題の本質は、回収できる見込みの低い不動産投資計画に投資してしまった事にあります。

もし、適切な利回りの見込める物件を、適切な価格で建設していれば、たとえスマートデイズが破綻したとしても、破産や自殺というところまで追い詰められなかったのではないでしょうか。

もちろん、無理な投資計画を、言葉巧みな営業トークでその気にさせたスマートデイズ側に非があるのは明らかですが、不動産投資をする以上、失敗しない最低限の知識は持っておくべきだと思います。

本当に良い投資案件を見抜く事はプロでも難しいですが、明らかに無理のある投資を見極める事は可能です。

今回は、シェアハウス破綻の事件を参考に、個人の方が不動産投資をする際に注意すべきことをお伝えしていきます。

1.不動産投資の種類

ひとことに不動産投資と言っても、その内容も難易度も様々です。

以下に代表的なものをあげておきます。

[易]不動産投資信託

いわゆるREIT(リート)。数万円など、少額から始める事が可能です。投資信託を購入するだけで良いので、土地の選定など難しいことは一切投資先に任せておけます。

[普]区分投資

投資用に建てられた分譲マンションの1室を購入して賃貸に出す投資です。単身用の部屋であれば、1000万~2000万程で購入出来ます。

どこで電話番号を調べたのか、よく勧誘の電話がかかって来る事も多いのもこれです。

[難]1棟投資

アパートやマンションを1棟まるごと購入し、貸し出す投資です。投資額が億単位になるため、最もハイリスク・ハイリターンな投資法になります。

土地の選定から建築計画、管理や修繕にいたるまで綿密な投資計画が必要です。土地所有者か、予算にかなり余裕がある方を除いて、初心者がいきなり投資すべき対象ではありません。

この他にも、駐車場投資や民泊などありますが、今回のシェアハウス投資は、その中でも最も難しい「1棟投資」になります。

土地を持っていない個人が、新築で1棟アパートを建築するのは、かなりハイリスクな投資になります。

2.一括借上げ契約(サブリース)

そんなハイリスクな1棟投資を身近なものに感じさせてしまうのが、ここ数年でかなり増えてきた一括借上げ契約(サブリース)です。

サブリースだと、不動産会社がアパートの全室を一括で借り上げ、募集や管理を全て代わりに行ってくれます。更にもし空室が出たとしても、契約期間中は、オーナーの家賃収入を保証してくれるという契約です。

今回のスマートデイズは、「30年間減額無しの家賃保証」とうたっていたそうです。もし本当に30年間減額無しなら良いのですが、そんな事はありえません。

恐らく勧誘する時には、「毎月60万円の家賃収入を保証しますので、月50万のローン代を差し引いても月10万円の利益が得られます」という風に言っていたのでしょう。

しかしサブリースには、大きな問題点があります。

借地借家法という法律では、物件の借主が手厚く保護されています。サブリース契約でいうと全室借り上げている不動産会社が借主という扱いになってしまいます。

たとえ「30年間減額なしの家賃保証をする」という契約書を交わしていたとしても、借地借家法によって、借主に不利な契約は無効となってしまいます。

さらに、オーナーが減額交渉を受け入れなければ、不動産会社がサブリース契約自体を解約してしまうので、そういう面でも、オーナーは減額を拒否することが出来ません。

もし今回スマートデイズが潰れていなかったとしても数年後には、「毎月の家賃保証が40万円に減額されて、月50万のローンで既に赤字」という事態になっていたと思われます。

3.業者のプランを信じず、自分で利回りを計算する

危険な投資を避けるには、「自分で利回りを計算する」につきます。サブリースや家賃保証などは当てにしてはいけません。

得てして、建築会社が持ってくるプランは、想定家賃収入をかなり高めに設定しています。

本当に提示された家賃で満室になるのか。さらに10年後、20年後にはいくらの家賃収入が見込めるのか。

また、築10年以降は修繕費なども大きくかかってきます。そして20年後にも満室稼働を目指すなら、リノベーション工事も必要です。

ここまでを自分で計算すれば、ローンを組んでまで投資すべき案件はほとんどないと言うことが分かるかと思います。

もしいくらの家賃収入が得られるか見当もつかない場合は、アポ無しで大丈夫ですので、近くの不動産仲介業者を訪ねて来て下さい!

検討中の物件の、「立地」「構造」「間取り」だけ教えて頂ければ、おおよそいくらの家賃が見込めるかお伝えできます。

我々仲介業者はオーナーさんとの関係が非常に大事ですので、きっと快く教えてくれると思います^^

4.おすすめの投資法

既に土地を持っている方は、自分で利回りを計算さえすれば、1棟投資でも、サブリースだとしてもどんどんやって頂ければ良いと思います。

ただ、私達土地も持っていない個人が不動産投資をするのであれば、中古不動産投資をおすすめします。

古かったとしても、数百万程度で買える中古物件を購入し、しっかりとリフォームして貸し出たり、その後売却したりするのが良いでしょう。(利回りが10%を超えることも珍しくありません)

この時、立地だけは譲らずに探して下さい。駅から遠かったり、周りに何もないような物件は厳しいです。

逆に立地さえ良ければ、多少目をつむる部分があっても、入居者は決まります。

そうやって低リスクで経験を積んでいき、十分に不動産投資を理解された後に1棟投資にチャレンジすれば、失敗のリスクはかなり抑えられます。

今回のシェアハウスの事件は、残念ながら多くの負債者を出してしまいましたが、これから投資を始められる方は、これを教訓に正しい計画を立てて頂ければと思います。

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